好みのタイプ
※天馬と拓人を暖かく見放す人たちの話。




「キャプテン、キャプテンの好みのタイプって、どんなのですか?」

「大人しくて健気で、控え目な女子

「あ、じゃあオレ当てはまりますね」

どこがだよ!ちゃんとオレの話聞いてたか???」







「相変わらずだよなぁ、松風」

 浜野が面白そうに言うと、隣では倉間がうんざりした顔をしている。

「アイツ、マジうぜぇ」

 そう吐き捨てた倉間のさらに横で、メガネがトレードマークの速水が呟く。

「もう諦めたらいいのに」




 そして、そんな神童と松風のやりとりを、霧野が浮かない顔をして見ていた。
 着替えようとしてボタンに掛けた手も、止まったままだ。

「好みのタイプ・・・か」

「霧野??」

 二人から目をそらすと、霧野は着替えを再開させる。

「神童ってさ、真面目な性格で、すぐ考え込んじゃうだろ。で、自分にないものを求めるのか、正反対のタイプが好みらしくて」

「正反対?」

 3人が首を傾げる。
 霧野は「はぁ」とため息をついて、脱いだ制服をハンガーに掛ける。

「前に『明るくて前向きな人が好きだ』って言ってた」

「明るく前向き・・・」

 向こうの方を見ると、松風が「女子と大人しくと控え目は無理ですけど、オレ、キャプテンのこと、健気に一途に想ってますよ」と主張していた。
 うん、実に前向き。明るいし、くじけない。

「まんま、松風じゃん」

 すると今度は神童が「健気って言葉を辞書で引いてこい、このバカ!」と松風を蹴飛ばす。
 スパイクに履き替えてあるので、あれ相当痛いんじゃないかなと思うが、それでも嬉しそうに笑う松風は、ちょっと気持ち悪い。

「嫌いなタイプではないんだよな」

「じゃあなんで、神童は松風をあんなに邪険に扱うんだろ」

「そりゃ・・・あんな風に鬱陶しくまとわりつかれちゃ迷惑なんじゃね?」

「部員がいる前で、堂々と『好きです』とか、アイツ頭おかしいぜ」

 うーん・・・。
 そうか・・・。
 なるほど・・・。
 三人三様に考え込む。



「・・・つまり、松風はやり方を間違っている、と」

 組んでいた腕を解き、霧野のほうを見る。

「だろうな。ま、わざわざ教えてはやらないけど」

 ユニフォームに着替え終わり、髪を整える彼は、実に面白くなさそうな顔をしている。
 そんな霧野を、ニッと笑って浜野がつつく。

「霧野はさ、幼馴染とられちゃって、淋しいんだろ〜」

「ふん」

「そこは否定しないんだ・・・」

 ポソッと突っ込む速水。

「まだとられた訳じゃない。それに、今まで大切に育ててきたに、どこの馬の骨か分からないやつになんて渡せるか」

「馬の骨て・・・」

「別に霧野が育てたわけじゃないだろ・・・」

 昼メロに出てくるヒロインの邪魔をする姑みたいな台詞を吐く霧野に、呆れかえる3人だった。



「松風も大変だなぁ」

「いや、この場合一番大変なのは神童じゃね?」

「別にどうでもいいし。ってか、さっさと部活始めようぜ」




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